日光白根山 東面北東ルンゼ


2014年4月19日

参加メンバー:仙人,幻舞


 朝一番のゴンドラで山頂駅へ。ここでシールを貼り、シール登高とするが、昨日の冷え込みで雪面は硬く締まっており、壺足でも全く問題ない。

 地獄なぎあたりまでは夏道を進むが、ここから仙人が直登ルートを選択する。無雪期はガレ場で登ることはできないが、積雪期の今はプチバリエーション気分を味わえるルートとなる。
   
 赤線が今回のルート。夏道は樹林帯を右方向にトラバースし、右のスカイラインに沿うようについている。

 幻舞の持っている「山と高原地図」には現在の夏道とは別に、今回のルートとほぼ同じように登山道があることになっているが、ガレ場の通過が危険なため、現在は廃道となっている。 

 今回は雪の状態、天候ともに申し分なく、直登ルートも兼用靴でアイゼン無し、ピッケル無しでも問題なく登れる。
 
夏道を離れ、直登ルートを登る。 





樹林帯を抜けたあたりから右にトラバース
 

 樹林帯を抜け、左側を見るとこんな景色が待っていた。コンデジで写したのと、撮影者の技術レベルの問題でこの程度の写真となってしまったが、実際の景色はちょっと感動ものだった。

 このルート、あくまでも条件が良いという前提であるが、お勧めである。技術的には特に困難な所はなく、事前にちょっと地形図を眺めていけばルートは明白だが、トレースは全くないので「自分でルートを選んで登っていく」という気分が味わえる。仮にあまり適切でないルートを選んだとしても、ちょっと遠回りになるとか、歩きにくいというレベルであって、ルーファイを間違えたら即遭難とか道迷いとかいうこともない。

 トレースに導かれるまま、淡々と歩く夏道通しにちょっと飽きてきたら是非どうぞ。

 山頂直下のガレ場で夏道と合流し、約15分で山頂に到着。ここで仙人と本日の滑降ルートを検討する。第1候補は北東面の中央ルンゼだが、雪の状態が悪ければ無理せず、五色沼から避難小屋経由で夏道が付いている南東側斜面を滑ることにする。

 中央ルンゼの位置であるが、日光白根山の山頂は三つのピークからなっており、1番南側のピークに祠があって、中央の山頂ピークを挟んで北側のピークとなる。

 中央ルンゼは山頂ピークと北側ピークの鞍部から派生しているルンゼで、そのままルンゼなりに滑ると五色沼に出る。中央ルンゼは鞍部から約100mくらいの所で北東ルンゼが分かれており、まっすぐに降りれば中央ルンゼ、左に入れば北東ルンゼである。





 
 

 正面の馬の背状になっているところが中央ルンゼと北東ルンゼの分岐点。 

 中央ルンゼは直進し、北東ルンゼは馬の背状を左に入る。


 仙人が雪の状態を確認し、予定通り中央ルンゼを滑ることにする。まだ時間が早いので、鞍部で大休止を取ることにして山頂ピークから鞍部に降りるが、雪があるとこの下り2mの部分がかなり悪い。悪いと言ってもピッケルを出せば問題ないのだが、2mのためにザックを下ろしてピッケルを準備するのも面倒な気がして、岩を回り込んで別ルートから降りる。

 この時にちょっと気になることがあった。スキーの板を担いで山頂に登ってきた我々を見て、物珍しそうに話しかけてきた70代前半と思われる夫婦のトレッカーがいた。

 どこを滑るのか聞かれたので、中央ルンゼを指さして「ここを滑って五色沼に降りて弥陀が池経由でゴンドラ山頂駅に戻るというと、自分たちも弥陀が池方面に降りて一回りしようと言い出した。

 この夫婦、この時期の北側ピークから弥陀が池への降り口の悪さを全く理解していないらしい。我々が口を出すことでは無いのであえて何も言わなかったが、あまりにもルートを知らなすぎる。

 結局、山頂ピークから鞍部への下りで我々が慎重になっているのを見て諦めて戻っていったが、こんな程度の認識で雪山に登ってくる人がいるのだからしょうもない遭難が無くならないのもわかる気がする。(あまり人のことは言えないが・・・・・)

 鞍部でゆっくり休んでから珍しく幻舞から滑りはじめる。が、出だしの急斜面は横滑りで誤魔化して早々に仙人に先頭を譲る。

 仙人は調子よく馬の背まで滑り、北東ルンゼを見下ろしながらなにやら思案している。幻舞は当然のように中央ルンゼを滑る気でいたので何となく嫌な予感が・・・・・

 案の定、仙人が「中央ルンゼはもう滑っているので北東ルンゼを滑ろう」と言い出した。確かに、中央ルンゼは複数のシュプールがあり、なおかつ我々が滑りはじめる15分ほど前にトレッカーが歩いて降りていったため、雪面が汚れている(乱れている)のにくらべて、北東ルンゼには1本のシュプールもトレースもなく、まさに「処女雪」の斜面が待っている。

 しかし、斜度は明らかに北東ルンゼの方が急で、かなり手強そうにみえる。

 幻舞が「うーーーーん、どうしよう?」と迷っていると、仙人は「まあゆっくり滑れば大丈夫だよ」と幻舞に深く考える時間を与えずさっさと滑りはじめてしまった。




 
北東ルンゼ。


 

 北東ルンゼを滑る仙人
 

 滑ってみると、前日の冷え込みと降雪で、アイスバーンに数センチの雪が乗った状態になっており、またこの日の気温上昇でアイスバーンが適度に緩んでいて非常に滑りやすい。

 こんなに気持ちよく滑れたバックカントリースキーは記憶にないくらいだ。


 調子に乗って五色沼まで滑り降りてしまうと弥陀が池への上り返しが大変なので、樹林帯に入ってすぐに左側へトラバース。これが正
で、ほとんど上り返しすることなく弥陀が池に出ることができた。

 弥陀が池から少し上り返し、ゴンドラ駅まではツリーランとなる。このツリーラン、過去は思うように滑れずにかなり怖い思いをしたが、今回はかなり滑りやすくて、ゴンドラ山頂駅まで快適に滑ることができた。

 弥陀が池でだいぶ道草を食ったが、山頂からゴンドラ駅まで約2時間。やっぱりスキーは早い。




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