谷川連峰 白毛門沢 (利根川水系湯檜曽川 東黒沢白毛門沢) 2013年9月14日 参加メンバー:仙人,BJ,幻舞 |
せっかくの3連休、いつもは忙しいBJも休みが取れたということで、一泊で奥只見の沢へ行き、たき火と岩魚釣りを楽しむ予定だったが、台風18号の影響で山に行けそうな気象状況なのは14日土曜日のみ。 急遽予定を変更し、地元の白毛門沢へ日帰りで行くことが決定した。 朝6時半頃に白毛門登山口の駐車場に到着。驚いたことに駐車場には数十台の車が止められており、沢の準備をしているパーティも見受けられた。 考えることは皆一緒で、天気が安定している14日に登山者が集中したようだ。白毛門沢にも入渓するパーティは多く、今日1日で5〜6パーティの入渓が予想される。 駐車場から東黒沢までは歩いて2分。このアプローチなしも白毛門沢の魅力の一つだ。 白毛門沢は初級の沢ということと、BJは2回目ということで仙人も幻舞もあまり細かい情報は調べず、ルートやらの細かいことはBJにお任せ。 また、ロープを使うようなところもないだろうとの予想から、ヘルメットは被ったもののハーネスやらの登攀装備はザックの中。 |
7:00に行動開始。東黒沢に入渓。 左,左下,下 とも東黒沢 東黒沢もなかなかいい雰囲気。 |
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東黒沢の名所(?)はなげの滝 途中で休憩しているパーティがいた。右岸と左岸でロープを張っている。 この時は一休み後、沢をトラバースするのかと思っていたが、パーティの女性が滑落して骨折、救助を待っていたとこのと。 当人のミスと片付けるのは簡単だが、沢登りなどのバリエーションをやる登山者はヒヤリとした経験の2度や3度はあるはずだ。 |
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東黒沢と白毛門沢の合流点。左から合流している沢が白毛門沢。 東黒沢を渡って白毛門沢に入るが、この日は東黒沢の水量が多く、1〜2歩水流に足を取られないように注意を要した。 以下時系列順に写真を並べる。タラタラのセンまでは考えるような二俣もなく、ちょっと手強そうな滝には明瞭な巻き道もあり、沢の雰囲気を楽しみながら簡単に遡上できる。 |
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この滝も左側に巻き道(右の写真が巻き道)があったが、右側草付きとの境目にあるバンドを登った方が楽だった。 | 巻き道は泥の斜面でかなり滑る。 |
さて、今回は3人とも沢靴をファイブテンの「ウォーターテニー」を履いている。 ウォーターテニーはソールが通常のフェルトではなく、ゴムソールのアクアステルスを使用している。アクアステルスソールに関しては賛否両論あり、どちらかというと否定的な意見のほうが多いように思う。 アクアステルスの弱点はコケ。キャラバンのホームページでも 「アクアステルスソールはアメリカのクライミングシューズ・トップブランドファイブテン(アナサジ社)が開発した特殊ラバーソー ルです。フリクション性能が高く、アプローチシューズとしても使用でき、汎用性に優れています。ただし、ヌメリがあったり苔む した岩には適しません。ご使用にあたっては状況を見極める判断が必要です。」 と注意書きがある。 色々と悪い方の噂を耳にしていたこともありアクアステルスは選択対象外であったが、今シーズンBJがアクアステルスソールのウォーターテニーを購入した。 BJによると、確かにコケには弱いがフェルトソールよりも滑り方が「いきなり」とういことで、同じレベルのコケならフェルトソールでも滑るとのこと。この情報からBJに続いて仙人,幻舞もウォーターテニーを購入した。 ウォーターテニーについて3人の感想を総合すると フェルトソールよりも滑り方が極端である。アクアステルスで滑るところはおそらくフェルトでも滑ると思うが、フェルトが「ズ ルズルズル」と滑るのに対し、アクアステルスは一気に「スルッ」という感じで滑ってしまう。 そのかわり、コケがなければフリクションはフェルトの比ではない。特に巻き道などの土の斜面や乾いた岩などはフェルトよりも 圧倒的に強い。 これらの点を総合すると、コケを避けて登るのが不可能なような沢ではフェルトソールに軍配が上がり、コケを避けて遡上できる 沢ではアクアステルスに軍配が上がると思う。 |
写真真ん中の茶ゴケがアクアステルスの天敵。フリクションは限りなく「0」 |
途中、幻舞がウォーターテニーのフリクションを試そうとしてわざとコケの上に。そのとたんにスルッと滑って意に反してのウォータースライダーを楽しむ羽目になった。仙人とBJは大爆笑。 |
所々にある綺麗なナメ | |
タラタラセンの下の滝。 左側に巻き道がある。先行パーティのメンバーが右側を偵察している。右側も登れそうだったがおじさんトリオは無理せず巻き道に。 |
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そしてこれが白毛門沢最大の滝,タラタラのセン 下から見る限り、大きく3段になっていて、1段目までは簡単に登れそう。 やはり左側に巻き道があり、仙人,幻舞は下から巻き道を、BJは1段目まで滝を登り途中から巻き道に合流。 巻き道は上部で小さい枝沢を越えるように右にトラバース。かなり上まで続いている。 |
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幻舞先頭で巻き道を進むが、明瞭な踏み跡につられて巻き道を進みすぎ、やっと沢に戻ったら白毛門沢名物の通称「三平岩」のすぐ近くに出てしまった。 このため、意図せずに滝をいくつかまとめて巻いたことになってしまった。 ちなみにこの三平岩、林家三平師匠にそっくりということでそう呼ばれているらしい。もちろん沢屋の間での通称で正式名前ではない。 |
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タラタラのセンから先は滝らしい滝はない。 タラタラのセンから約30分、1:1の二俣が現れた。このあたり幻舞が先頭だったが、幻舞は白毛門沢の遡行図を見ていないため、どちらに進んでよいか判断できず先頭をBJに交代。 白毛門沢2回目のBJは迷うことなく左俣へ。白毛門沢は、沢のすぐ左側の尾根に登山道が付いているため、基本的に左に進めば間違いない。(とこの時は思っていた。) |
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左俣にはいるとどうも様子がおかしい。確実に先行パーティがいるはずだか、蜘蛛の巣が張っていて人が入った形跡がない。 灌木のトンネルといった雰囲気の沢を進むと灌木がいきなり切れて目の前に広がったのが右の写真の風景。 ジジ岩とババ岩に挟まれたスラブがドーーーーン!と広がった。 |
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写真のあたりはまだ「こんなもんかな?」というレベルであったが、ジジ岩,ババ岩に近づくにつれて角度がきつくなり、事前の情報にあった「初級者」が「スタスタ歩いて」登れるレベルではなくなった。 BJに確認すると「前回もここを登ったからルートに間違いはない」とのこと。前回はババ岩までいかず、途中から左の斜面を登って登山道にでたらしい。 おじさんトリオもいい加減疲れたことだし、いまさら何度も登っている白毛門の山頂にこだわりはないし、今回も楽をして早めに登山道に出ようとするが、左へのトラバースが悪く、ルートが見つからない。 相談の結果、ここは素直に山頂までスラブを登ることになった。それでもショートカットを諦めきれないBJはスラブの左側にルートを取り、安全第一の仙人と幻舞は乾いた部分を登るためスラブの中心を登る。 そうこうするうちに左側を登るBJが仙人,幻舞側にトラバースしてくるのが不可能な状況になってしまった。仕方なしにそのまま登ると、ババ岩上部にある支尾根によってBJと仙人,幻舞チームが完全に別れ別れになり、声も届かなくなってしまった。 |
左側の斜面がババ岩上の支尾根。BJはこの尾根の向こう側を1人寂しく登ってる。 仙人,幻舞はこの先で支尾根上部に突き上げる涸れた枝沢を登って支尾根に出た。 幸い、支尾根は灌木が茂っていたので灌木を掴んでトラバースすることができた。 |
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支尾根を越えると草付きスラブが広がっていた。そのスラブの先には登山道が見える。 一瞬行き詰まったかと思ったが、よく見れば足場はしっかりしており、簡単にトラバースできそう。 草付きスラブで支尾根の反対側を登ってきたBJとも合流し、無事登山道に出ることができた。 |
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登山道に出たところでちょうどお昼。沢装備の片付けも兼ねて大休止する。 |
しかしどうにも腑に落ちないことがある。我々が登ってきたスラブは、どう見ても初級者が簡単に登れる難易度ではない。自慢するつもりはないが、我々はそれなりにクライミング経験も積んできており、それなりの技術レベルにはあるのでロープも使わずに各自の判断で登れたが、もし初級者レベルのメンバーがパーティにいれば、迷わずロープを出したであろうところが何カ所かあった。 しかも、幻舞,仙人組は途中の枝沢で左に逃げたが、枝沢の出合いから見上げた本谷は水で濡れて黒々と切り立っており、確保なしで登れるようには見えなかった。 決してBJを疑っているわけではないが・・・・・・いや絶対なんか間違ってるだろBJ!!!!! 下山途中、沢で冷え切って疲れた足を引きずりながらおじさんトリオはとぼとぼと登山道を敗残兵のごとく進む。何度目かの休憩中にBJが取り出した遡行図を幻舞が横目でチラッと見ると・・・・・ やっぱ間違ってるじゃん!詰めのスラブは「ジジ岩の右側」を登るのが正解で我々が登ったのはババ岩とジジ岩に挟まれたスラブ。どうりで悪いはずだよ。 BJに「違ってるよ」と指摘すると、「ほんとだ!ということは2回連続間違ったルートを登ったってことになるな。まあ適度に緊張感もあって、かえって面白かったでしょ」だって。 |
登山道からみたスラブ。登っているときよりもかなり立って見える。 正解のルートは写真中央にみえるジジ岩の向こう側。 |