谷川岳〜平標山縦走


参加メンバー :幻舞,姫

山行計画:2011年10月16日  土合駅〜西黒尾根〜肩の小屋〜大障子避難小屋(泊)
          17日  大障子避難小屋〜万太郎山〜仙ノ倉山〜平標山〜平標登山口〜(バス)〜越後湯沢〜(JR)〜土合駅
 最初の計画では、温泉大好き娘の姫の希望で黒部下ノ廊下に行って、阿曽原温泉小屋の露天風呂で草津よいとこを一節うなりというつもりだったが、10月7日に発生した登山道崩落のため通行不可能となり、谷川岳〜平標縦走に予定を変更した。
 
 谷川岳〜平標山の縦走は、頑張れば日帰りも可能で、幻舞も数年前に日帰り縦走を経験しているが、医療関係の仕事をしているため普段連休を取りにくい姫がせっかく取った休暇だし、そもそもこのルートはバスの時間を気にしながらせかせかと歩くルートではなく、熊笹の尾根を景色を眺めながら余裕を持って歩くのが楽しいルートなので、今回は大障子避難小屋に泊まる一泊二日の縦走にした。

 16日が近づくにつれて天気予報が怪しくなってきた。17日はまあまあの予報だったので、月曜日に日帰りで谷川岳の別ルートも考えたが、雨具のお世話になることを覚悟で予定通り出かけることにした。

 
10月16日

 土合駅に7:00頃着。本日は大障子避難小屋までで、行動予定時間も6時間ちょっとと余裕があるため、30分ほど仮眠を取っていると、それまで青空もちらりちらりと見えていたはずなのにいきなりの雨。

 やむのを待って8時頃に出発。雨こそ降っていないが、山頂は雲にすっぽりと覆われており、あまり喜ばしい状況ではないようだ。

 これを見て、西黒尾根をやめ、安直にロープウェー利用の天神尾根に変更しようか姫と相談したが、やっぱり西黒尾根を登りたいという姫の希望で西黒尾根を登ることに。

 西黒尾根は薄日も差すような状況で、天候回復の期待もあったが期待むなしく山頂はガスに覆われたまま。

 こんな天気にもかかわらず、紅葉目当てと思われる大勢のハイカーが天神尾根から登ってきていて、この時期の谷川岳に登ったことがない姫は、あまりの人の多さにビックリ!

 
   
   
 
   
 一応山頂は踏んでおこうと言うことでトマの耳に行っては見たものの、あまりの登山者の多さと濃いガスで早々に退散し、肩の小屋へ降りる。

 しかし、当然のごとく肩の小屋も登山者で一杯。とてもゆっくり休めるような状況ではない。

 トイレも順番待ちの長い列が出来ていて、こんな所に長居は無用と大障子避難小屋を目指して平標への稜線ルートに足を踏み入れるが、濃いガスで視界は30〜40mしかなく   
 
 
             天気が良ければ見えるはずのこんな  景色も全く楽しめず、
   
 写真を撮る気にもなれず、この日撮影した最後の一枚がこの写真

                          → 
 


 この縦走路はルートがハッキリしているので、視界が悪くても歩くのに問題はないが、本来なら見えるはずの目的地が全く見えず、どの辺を歩いているのかも???な状態で、雨具を着ているのでどうしても蒸れて不快になるし、楽しみにしていた景色は全く見えないしで、大障子避難小屋までがやたらと長く感じてしまう。

 天気も回復どころかますますガスが濃くなり、雨具を着ていなければシャツがびっしょりになってしまうほど。

 明日は平日だし、こんな天気でこのルートを歩く物好きは我々以外はいないだろうと思っていたら、オジカ沢の頭で30代と思われる男女のパーティに追い越された。やはり大障子避難小屋泊とのこと。物好きは我々だけではないらしい。

 「避難小屋はまだか」と思いはじめたとき、ガスの中から突然という感じで避難小屋が見えた。

 先ほど追い抜かれたパーティ(横浜からきたご夫婦)の隣にスペースを確保し、本日最後の大仕事である水汲みに出かける。水場への入り口は明瞭な踏み跡と赤い割れた道標があるのですぐに分かるが、熊笹帯についた踏み跡を降りていくとガレ場になって踏み跡が不明瞭になり、水場を見失ったかとドキリとさせられるが、とにかくまっすぐ下に降りていくと踏み跡は復活し水場はすぐに分かる。

 今日の縦走で残った水はコッヘルに空けてきたので、姫と幻舞が持っていた水筒全部、しめて5.5Lの水を汲んで、夕食と朝食、明日の縦走分の水は確保できた。

 避難小屋に戻り暖かいお茶を飲んでいると、本日3組目のパーティが到着した。男性2名のパーティで福島県いわき市からとのこと。
 
 床に広げていた装備を棚に移すと6人で必要十分なスペースは無理なく確保できた。簡単な自己紹介の後、山好きどうしで話しに花が咲く。こういう出合いも山の楽しみの一つだ。

 横浜パーティは我々と同じルートで、いわき市パーティは万太郎山から呉策新道で土樽とのこと。せっかく福島県から登に来て呉策新道ではもったいないと、横浜パーティと一緒に平標ルートを勧めたが、平標ルートはコースタイムが約2時間長くなるため、体力に不安があるとのことで予定通り呉策新道を降りるとのこと。

 実は幻舞と姫の関係は特に説明しなかったが、幻舞には妻と子供がいることを話したので、後から二人で「不倫関係とかと勘違いされたかも」と大笑い。


 
 17日

 快晴とまではいかなかったが、うっすら雲がかかる程度でまずまずの縦走日より。

 横浜パーティは万太郎山で日の出を見るからと4時半頃に出発。我々は5時半頃に行動開始。まずは万太郎山を目指す。



 
 途中、富士山が姿を見せた。「珍しい」というほどではないと思うが、つい写真に納めてしまう。   
 
 

 ほぼコースタイムで万太郎山山頂を踏む。ここから毛渡乗越まで長い下りになるが、途中にちょっとしたナイフリッジ状になっている部分がある。

 毛渡乗越はこのルートの最低鞍部で、ここを過ぎるともう大きなアップダウンはない。鞍部まで降りきるとエビス大黒の頭までの登り返しとなる。

 以前、日帰りでこのルートを歩いたときは、このあたりまで来るとだいぶ足が怪しくなっていたため、毛渡乗越への降りとそれに続く登り返しを見て心底うんざりした記憶があるが、今回は一泊で余裕を持った山行であったため、毛渡乗越の大きな高低差もあまり気にならなかった。
 
 
   
 エビス大黒の頭から仙ノ倉山に登ればこのルートは事実上の終了となる。 

 仙ノ倉山から先は、平日でもこのシーズンはそこそこ登山者がおり、木道なども整備されていて、これまでの静かな縦走路とは雰囲気が一変する。

 あまり我々の好むところではないので、後は淡々と下山するのみとなる。
 



 平標山からは松手山経由で平標登山口に降り、バスで越後湯沢駅へ。我々はバスを利用したが、平標登山口の駐車場からはタクシーも呼べるようだ。値段は越後湯沢口までおよそ6000円くらいらしい。

 越後湯沢駅から上越線水上行きで土合に戻る。途中の土樽駅から横浜パーティといわき市パーティも同じ列車に乗ってきた。横浜パーティは、平標山から平標新道で土樽に降りたとのこと。

 土合駅で、またいつか何処かの山で再会出来ることを願って2パーティと別れた。



 この縦走路は、技術的に困難な所は全くなく、ルートも熊笹の尾根通しで付いているため、濃霧の夜などよほどの悪条件でもない限りはルートを見失うということもまず考えならない。

 北アルプス3000mの岩稜帯の縦走路も岩場,鎖場の通過や高度感など男性的な面白さがあるが、熊笹に覆われた穏やかな起伏の尾根に付いた女性的な縦走路を歩くのも、ノンビリした気分になれてとても気持ちがいい。

 手も使って登り降りするような岩稜帯の縦走路は怖いという人でも、安心して縦走を楽しむことが出来るお勧めのルートだ。

 ただ、気になるのは大障子避難小屋のスペース。今回は平日を含む縦走だったにもかかわらず6名の宿泊者がいたが、これが翌日も休日だと倍くらいの人数になることも考えられる。

 大障子避難小屋に快適に泊まれるのは6人が限界で、詰めればあと3人くらいは何とかなりそうだったが、布団一枚に2人の山小屋状態になってしまう。

 幻舞は、このルートを歩く人は休日でもかなり少ないだろうと考えていて、今回も翌日が平日と言うこともあっていくら紅葉シーズンとは言え、我々以外に宿泊者がいるとは全く考えていなかった。

 おそらく、紅葉シーズンがこのルートが一年で一番賑わう時期なので、この時期に大障子避難小屋泊での山行計画を立てた場合は、小屋が満員と言うことも十分考えられるのでテントは用意した方がいいと思う。(稜線はテン泊禁止であるが、非常事態と言うことで)




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