西上州 毛無岩 


参加メンバー:幻舞

山行計画:2013年5月3日
     
    道場登山口〜「沢コース」〜相沢峠〜毛無岩〜毛無岩東のコル〜「尾根コース」〜道場登山口



 Team Moss−Backが毛無岩を目指すのは今回が2度目である。1度目は毛無岩にあるクライミングルートの偵察を目的に仙人,BJ,幻舞の3名で出かけ、沢コースから毛無岩を目指す予定であったが、入る沢を一本間違え、毛無沢ではなく隣の井戸沢に入ってしまい、しかも稜線に出るまで間違えに全く気がつかなかったため、時間切れ敗退となってしまった。

 今回、連休後半特に予定のなかった幻舞が時期もいいし、お手頃ということで1人で歩いてきた。


 南牧村道場から毛無岩に登るルートは2012年度版の「山と高原地図」には2本記載されている。一本は道場から直線的に毛無岩を目指す
「中尾根コース」と、もう一本は中尾根コースの東側の尾根を行く「東尾根コース」で、いずれも難路を示す「点線ルート」である。


*コースの呼び方は幻舞が勝手に付けたもので、「山と高原地図」には特に記載されていないし、一般的に呼称されているものでもない。


 この2本の尾根コースとは別に、毛無沢から登る「沢コース」があったが、2007年の台風による被害で登山道が荒れてしまい、その後再整備もなされていないため「山と高原地図」からは抹消されてしまった。

 幻舞が持っている「山と高原地図 西上州・妙義」は2012年度版だが、沢コースは登山道を示す赤線とは別に、細い線で申し訳程度に記載されている。もちろんコースタイム等の情報は一切ない。

 今回は、この「沢コース」から毛無岩を目指すことにする。

 以下に幻舞が感じた毛無岩登山の印象をまとめた。
なお

あくまでも幻舞の印象であって、これを信じた結果生じた全ての事象に対して一切責任はとれないことをお断りしておく。」


・所々ルートが不明瞭になるが、ちょっと探せば簡単に正しいルートは発見できた。
・真新しいリボンが随所に付けられており、最近になって誰かが簡単なルート整備をしたような形跡がある
・沢コースについては通過に技術を要するような箇所はなく、この先に進んだら後戻りは困難というような状況はなかった。
・登山適期はGWまでの新緑の季節か秋の紅葉の季節。木の葉が生い茂る時期は木の葉が邪魔になってルートを探すのが困難になると思
 われる
・毛無岩山頂にいたるルートは険悪で、下降用に補助ロープが欲しくなる場面もあった。
・全体を通じて典型的な「西上州の藪山点線ルート」であり、北アルプスなどの整備された登山道のつもりで出かけると痛い目にあうか
 も。


 
   
    1,登山口に至る道。

 この先に駐車スペースはあるが、上手に止めても3台がやっとという感じだし、道が狭く駐車スペースがいっぱいだとUターンもおぼつかないような場所なので、集落近くの邪魔にならなそうな所に駐車するのが無難かも。 
2,簡易水道施設。       3,駐車スペース

 ちょっと広くなっているところが駐車スペース。登山口もここにある。 
     
 
登山口  7:00  時間は写真の撮影時間

 登山口には前橋山遊会の名前が入った道標がある。この後も間違えやすい所やルートを見失いやすいところに同会が設置したらしい道標があり、非常に助けられる。

 帰宅後、興味を覚え、同会についてネットで調べてみたが、ほとんど情報は得られなかった。

 道標もかなり古いもののようであるし、現在は活動していない可能性が高い。 


   
7:04

 登山道はおおむね杉の人工林に付けられており、人工林の登山道は写真程度の明瞭さはある。

 登山口は沢の右岸にあるが、以下の写真に示したとおり登山道はこの先すぐに沢を渡って左岸になり、またすぐ右岸になる。

 なお、沢の右岸,左岸は下流方向を向いたときの左右になる。
    7:05

 一端沢を渡って左岸へ。
  7:10

 すぐに右岸にもどる。なお、写真は下流方向を撮影したもの。 
   7:19

 部分的にはこんな場所もあるが、通過に技術を要するような所はなかった。


 しかし、こんな斜面でも滑り落ちれば行動不能レベルの怪我を負う可能性はあるので油断せず、足元の安定を確認しながら慎重に進む。
 

7:24

 最近1年以内に架けられたように見える橋。まだ新しそうなリボンも随所にあり、誰かがルート整備をしているようだ。 
 
7:26

 最初の明瞭な二俣。ケルンとリボンに従って右俣を進む。この先も二俣はあるが、このような場所には必ず目印が付けられていたため、特に迷うようなことはなかった。

 ただし、立ち止まって周囲を見渡し、目印を探す程度のことは随所にあった。
   
7:31

 斜面を登るような方向に矢印が向いているが、実際は矢印方向に少し登ってすぐに沢と平行に道が付いている。


 道標は見やすい位置に設置されているので見落とすことはないと思われる。
   
 
7:34

 作業小屋。ここまでで尾根までの約半分。
   
 
←7:36

 作業小屋から先、登山道が若干不鮮明になる。 


            7:39→
     登山道が大きく崩れていた。

 
  ←7:42

 少しの間、沢の中を進む。沢の中は道らしいものはなく、歩きやすそうなところを選んで進む。

 調子に乗って歩いてしまうと目印を見落としてしまうことがあるので少し進んでは立ち止まっては目印を探して周囲をキョロキョロ


              7:46→
     
 
     
   
7:48

 二俣。道標は中間の支尾根を示している。ここから沢を離れて人工林の尾根を登るものと思ったが、道はすぐに左側の沢と平行になる。
 7:53 

 ここで尾根の真ん中から左方向に進む。
   

7:55

 人工林のなかの登山道。この辺はかなり明瞭。 
8:12

 尾根に入るとルートは不明瞭になるが、尾根から外れなければ問題ない。

 それにしてもなんとも気持ちのいい尾根だ。西上州の山の一番いい季節が若葉が芽吹くこの時期かもしれない。
 
8:17

 尾根に出る。ここからのルートは「山と高原地図」に記載されている。

 毛無岩へは「黒滝山不動寺」方向へ進む。


 この沢ルートは、もともとは道場集落と尾根を挟んだ反対側の相沢集落を結ぶ地元の人たちの生活道路だったようだ。

 道標には「相沢」の文字があるが、実際に相沢側を見ても道らしい痕跡は見当たらない。

 また、荒船山まで登山道が続いていたようだが、やはり2007年の台風で登山道の一部が崩落し、現在は廃道になっているらしい
 
   
8:20

 尾根に出て二つ目の道標。ここで毛無岩を登るルートと、基部を巻くルートに別れる。

 毛無岩山頂へのルートは「上級コース」となっている。一応バリエーションルートもやる幻舞は、当然のように上級コースへ。

 
8:29 

 毛無岩山頂。ルートは尾根に付いている。
8:38

 山頂に至るナイフエッジ状の尾根。両端が切り立っていて高度感はバツグン。

 さすがに西上州の上級ルートは北アルプスなどの人気点線ルートとはレベルが違う。

 足元も悪く「これで一般登山道?」と叫びたくなるようなルート。
   
   
8:44  毛無岩山頂   毛無岩からの眺め。この日は八ヶ岳が綺麗に見えた。
   
 山頂で景色をながめつつ一休みし、下山にかかるがルートが見つからない。見つからないという表現は語弊があるかもしれない。それらしきルートはあるが、あまりにも急な土の斜面で、何の確保も無しに下るのはリスクが高すぎ、幻舞のイメージにある「一般ルート」の範疇には入らないような気がして、他にもっと安全なルートがあると考え、しばしルートを探してみた。

 しかし、他にルートらしいものはなく、狭い山頂のことでもあり、見落とすことは考えられないため、例の急な土の斜面が正しいルートであることは間違いないようだ。


 頼りない灌木や灌木の根を手がかりにしてなんとか安全圏まで下ったが、なんの安全確保もなしに降りるにはちょっとリスクが高すぎるような気がする。

 東尾根のコルで中尾根と東尾根が別れる。今回は中尾根コースなのでV字形に後戻りするような形で毛無岩方向へ逆戻りする。コースに確信が持てず、ここで本日初めて地図でルートを調べ、毛無岩基部を巻くルートであることを確認。中尾根コースは途中で分岐しているが、今までの様子から分岐に道標等がないことも考えられたため、分岐を見落とさないように状況を確認しながら進むが、幸い分岐点には倒れかけた道標があって一安心。



 
   
9:10 東尾根のコルの道標 荒船山方向へ進む    ルートは明瞭。
   
 
9:17 

 中尾根コースと巻き道コースの分岐にある道標。


 今回はこの道標のおかげで分岐点を簡単見つけられたが、近い将来、この道標が朽ちてしまったら、この分岐を見つけるのはかなり困難になると思う。
  9:26


 渡るにはかなりの決心がいる丸木橋。一歩だけ橋に体重を掛けたが、あまりにも信用できないので岩にしがみついて通過。
   9:48

 ルートを探して考えるところも数カ所あるが、幻舞の場合は西上州がホームグラウンドでこの辺の登山道になれているため、いずれもそう労せずに正しいルートは見つけられた。


 西上州の登山道の特徴として「ルートのわかりにくさ」がある。登山者が少ないのが最大の原因かもしれないが、西上州の山に慣れた人ならともかく、人気ルートばかり歩いている人だと獣道なのか登山道なのか判断に迷うようなところが随所にある。

 ルートを見失ったとき、冷静に考えれば「こんなところにルートを作るはずがない」とわかるところでも、それまでのルートの状況や、ルートを見失っているという焦りから獣道に踏み込んでしまって遭難なんてケースも十分考えられる。

 写真の場所も、正しいルートはそのまま直進だが、ちょっと見にはルートがあるように見えないし、その先はスッパリ切れ落ち手いるようにも見える。

 さらに左側の斜面には獣道があり、焦っているときは間違えやすい地形だ。

 
  10:00


 ここで登山道は尾根を離れて左側の斜面を降りる。ここもぱっと見は直進が正しいように見える。
   10:02


 尾根から左の斜面に入ってすぐに誰が作ったのかこんな彫刻があった。
  10:24


 砂防ダムが見えてきたが、ここでルートがプッツリと途絶える。

 このダムの右岸に簡易水道施設があり、緩い斜面を登って水道施設のフェンスを乗り越えれば道に戻れるが、あまり褒められた行為ではないため、フェンス乗り越えは最終手段とし、ルートを探してキョロキョロしていると、左岸に人が強引に登ったような踏み跡を見つけ、この踏み跡に従って左岸を登るとほどなく登山道に出た。

 ということは、何処かで登山道を外れて沢を降りたことになるが、どう考えても見落とした覚えはなく、何処で登山道を外れてしまったのか今ひとつスッキリしない。
 
 10:33にスタート地点に戻ってきた。行動開始が7時だったので、3時間半で一回りしたことになる。だいたい5〜6時間と考えていたので、予想よりだいぶ早かった。

 毛無岩にはマルチピッチのクライミングルートもあり、今回はこのルートの偵察も目的の一つであったが、やはり1人の山行だと途中で面倒になり、ルート偵察は諦めてしまった。

 今考えればもったいなかったが、宿題が残ったことでもう一度登る理由が残ったとも考えられるし、次はモスバックの山行としてメンバーと楽しく歩いてみたい。




  

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