あとは岩壁の上まで、この繰り返しで登っていきます。ざっとですが、これがクライミングのシステムです。
他にも本を読む上で知っていた方が良いものにピッチグレードがあります。これは、岩壁の難易度を示す指標で、明確な基準があるわけではありませんが、経験豊富なクライマーが自分の体感で決めているみたいで、何処の岸壁に行っても同じグレードが付いていれば、同じような難易度になっています。
T〜Y級まであり、T級はただの歩きレベルで、幻舞の場合だとV級くらいからロープが欲しくなり、X級と言われると気合いが入ります。
例えば、全6ピッチのルートがあったとして、1ピッチ目はV級だから簡単すぎてつまらないとか、4ピッチ目がX級でこのルートの核心部だとかの判断基準にしてます。
ロープの長さは50mですので、高さが50m以上、例えば300mの高さがある岩壁を登ろうとする場合、何回かに分けて登らなければなりません。
リードは、登り始めてから50m以内で足場の良い場所を見つけたら、その場所で登るのをやめ、今度はリードがビレイヤーとなって、セカンドが登るのをビレイするための準備をします。この一区切りをワンピッチと言います。
このように、登りながらハーケンなどにカラビナをセットし、ロープを通していくと、途中で墜落した場合は、最後にロープをセットしたカラビナを支点としてロープは折り返され、墜落したリードは、折り返されたロープにぶら下がることになります。
仮に、最後にロープをセットしたカラビナから2m登ったところで墜落したとすると、ロープの延びや弛みが全くなければ、4m落ちて止まることになり、登り始めてから4m以上の高さを登っていれば、墜落してもロープにぶら下がるだけで地面に激突することはありません。
これがクライミングの安全確保のシステムです。セカンド(ビレイヤー)はリードが登るのに合わせてロープを繰り出し、リードが墜落した場合はロープが流れないように素早く対応して、リードの墜落距離が最低限になるようにしなければなりません。
ボケッとしていてリードの墜落に対応するのが遅れたら、ロープの流れが止まらずに、リードは地面に激突して最悪の事態を招いてしまいますし、順調に登っているときでも、ロープの繰り出しが悪いと、リードの失敗を招く要因にもなってしまいますし、一見すると地味なようですが、ビレイヤー)の役割は非常に重要です。
ビレイの準備ができましたので、リードはクライミングを開始します。
リードは、岩壁を登りながら、所々に打ち込まれているハーケンなどにカラビナをセットし、そのカラビナにロープを通していきます。
左の写真だと、矢印の所でカラビナにロープを通しており、続いて、リードの顔のすぐ右にセットしたカラビナにロープを通そうとしています。下がロープを通した状態です。
これを「ランニングビレイ」と言います。
手で持っている方のロープ先端がリードのハーネスに結ばれています。
←の写真のように、ロープをビレイ器とカラビナに通すことにより、ロープに3カ所の「屈折」ができますが、この屈折抵抗によって、矢印の部分を軽く握るだけで、自分の体重よりも遥かに大きな力でロープを引っ張られても、ロープが流れる(引き伸ばされるされる)のを止めることができます。
セカンドは、このビレイ器に通したロープを操作し、リードの安全確保を行います。
準備ができたらクライミングの開始です。
登る順番は、最初にリード,次がセカンドです。
セカンド(ビレイヤー)が「ビレイ器」にロープを通し、ロープを操作してリードの安全を確保する準備をしています。右の写真で、左手で持っている金色の器具がビレイ器です。
この安全確保のことを「ビレイ」といい、ビレイを行うセカンドのことをビレイヤーともいいます。
ビレイ器にロープを通したら、ハーネスに付けたカラビナにビレイ器とロープをセットします。下の写真がセットした状態です。
まずはクライミングのスタイルです。
右の写真のように、ハーネスを付けハーネスにカラビナなどの装備とロープを結びます。
足はクライミングシューズというクライミング専用のシューズを履いています。
クライミングは、基本的に2〜3人でパーティを組んで行いますが、一番効率が良いのは2人です。この後は、2人でパーティを組んで登攀することを前提とします。
まず、「リード」と「セカンド」を決めます。リードは「トップ」、セカンドは「ビレイヤー」とも言います。
最初にお断りしておきますが、これはクライミングについての知識,経験がない方が、クライミングの山行記録の内容を理解して読むために必要な「クライミングの方法」の説明であって、クライミング技術の解説ではありません。
絶対に、ここに書かれたことを真に受けて、知ったかぶりをして友人に解説したりしないでください。ハッキリ言って後で大恥かきます。
あたりまえですけど、これを参考にしてクライミングを実践するなんてもってのほかです。死んじゃいますよ。マジに。
なにしろ、書いているのは「適当」「いいかげん」「無責任」の幻舞で、リーダー仙人の監修も受けていませんから。
山登りを趣味とする人の大半は、登山道を歩いて山に登り、登山道を歩いて降りてくる「トレッカー」であると思いますが、トレッカーの方たちの中には「クライミングはやらないけど興味はある」という方もけっこういらっしゃると思います。
幻舞も、今でこそ仙人師匠にくっついてクライミングなんぞもやっていますが、仙人師匠と出会う前は「クライミングはやらないけど興味はある」トレッカーの一人でした。
で、本が好きというのもあって、小西政継,吉尾弘,長谷川恒男,森田勝各氏など一時代を代表する有名クライマーと、各氏を取り上げたノンフィクション本(代表的なのが佐瀬稔氏の本)などを読みあさっていました。
しかし、ですね。これらの本、あたりまえですけどクライミングに関する記述が凄く多いんです。ルートの名前や装備,技術などに関する専門用語がバシバシ出てきて、クライミングに興味はあっても知識はない幻舞には、本を読んでもその情景が頭に浮かんでこないんですね。
そういう状況になると、本を読んでいても面白さは半減してしまうわけで・・・・・それでもひつこく読んでいれば、そのうち理解できるようになるだろうと思い、我慢して読んでいたんですけど、結局わかりませんでした。
まさか、本の内容を理解するためだけにクライミングの入門書なんて買えませんし、最終的に本の内容が理解できるようになったのは、自分でクライミングを始めてからでした。
そんな自分の経験から、楽しく本を読むための予備知識としてクライミングの説明を書いてみます。
リードがビレイの準備を完了したら、セカンドが登り始めます。
セカンドは、登りながらリードがセットしたカラビナを回収します。
セカンドは、左の写真の通り、上からロープで吊られた状態で登ることになります。まあ吊られていると言っても、ロープで引っ張り上げられているわけではなく、ロープに弛みがない程度に引っ張られているだけですから、登るのはあくまでも自力です。
ですが、ロープが常に上から張られた状態にあると言うことは、もしスリップしたり、ホールドが欠けたりということがあっても、その場でロープにぶら下がるだけで、リードが失敗したときのように「落ちる」といことはないわけです。
つまり、リードに比べて、セカンドは遥かにリスクが少ないということになります。