子持山 獅子岩



2010年11月14日

参加メンバー : 仙人,幻舞

行動計画   :マルチピッチフリークライミング

装備     :ハーネス,カラビナ7コ,クイックドロー10セット,ビレイ器,スリング5本,ロープ(10.2mm×60m)×1本
 
 地元子持山の獅子岩に、あまり人に知られていないマルチピッチのフリークライミングルートがあるとの情報を得て、9月に仙人&幻舞で様子を見に行った。

 もともと子持山の屏風岩や獅子岩には、11〜12クラスのフリーのルートが何本かあるが、我々には難易度が高すぎて興味を持てずにいた。しかし獅子岩のマルチピッチルートは我々でも楽しめるレベルらしい。

 「獅子岩にある」という情報のみだったが、無事ルートを発見し、快適なクライミングを楽しむことができた。この時は5ピッチを右上し、最終的に灌木帯を登って獅子岩頂上部にある登山道に出たが、後日調べてみると、5ピッチを直上すると、もう1ピッチで上部登山道に出られることがわかり、紅葉見物もかねて改めて登りに行くことにした。


 あらかじめお断りしておくが、6ピッチだったか7ピッチだったかがどうもハッキリしない。一応、各終了点ごとに終了点の写真を撮ったつもりなので、写真から全6ピッチだったと判断し、そのように記述したが、幻舞の勘違いで実は7ピッチだった可能性もある。まあ1ピッチ増えたところでたいした問題はないと思う。(無責任モード全開の幻舞)

 
 のんびりと9時40分頃に登山口である7号橋駐車場に到着。子持山は、地元にはそこそこ知られているものの、かなりマイナーな山だと思うが、それでも駐車場はほぼ満車で、小型の観光バスの姿も。

 紅葉目当てのトレッカーのようだ。我々のすぐ前にも10人位の集団が歩いている。

 屏風岩を横目で見つつ、杉の人工林につけられた登山道を歩く。林道歩きと並んで、人工林歩きは苦痛以外のなにものでもない。

 特にこの時期、自然林の登山道が落ち葉の絨毯で覆われているのと比較すると、赤土むき出しの人工林の登山道は砂漠のように感じる。

 花粉症の原因の一つでもあり、経済的にも成り立たない人工林を伐採し、自然林に戻すことはできないのだろうか?

   
   登山道から約30分で左写真の道標が見えてくる。この道標の「この先危険」に従って(笑)先へ進む。

 右の写真のように明瞭な踏み跡があるので、踏み跡を約5分歩くと獅子岩の基部にでる。

 基部に出たところの右側にルートのフェースがあり、上を見ると1ピッチ目と2ピッチ目の終了点が見える。

 
     
木の幹の赤リボンから基部を目指して登ると このフェースの下に出る。  取り付きから左を見たところ。 
 
 ルートは6ピッチだが、4ピッチ目以外は15〜20m程度と短いため、2ピッチをまとめて1ピッチで登ることも可能。グレードは幻舞の体感で5.8〜5.9だが、ハッキリ言ってあてにならない。このルートのことなのか、獅子岩にこのルート以外にも山頂に抜けるマルチピッチルートがあり、そちらのことなのか不明だが、最高難度は10a/bという情報もちらほら。

                     
確実に言えるのは、二子山中央稜よりも手強い。

 ちなみに、幻舞のオンサイト最高グレードは10b、レッドポイントは11b。と言っても、11は榛名黒岩の「つる」一本のみだし、フリーは基本的にインドアクライマーなので外岩のグレードはよくわからない。

 支点はハンガーボルトでしっかりしたものが作られており、見た感じではかなり安心できるし、終了点は2つのハンガーボルトに真新しいステンレスワイヤーが通されている。ワイヤーはシャックルで連結されていて、セカンドのビレーや懸垂下降には十分な強度があるように見える。
 
 これだけちゃんとルートが整備されているにもかかわらず、ルートはカラカラに乾いたコケが付いていたり、ホールドに落ち葉が溜まっていたりと、登られている形跡は非常に少ない。今のところ、いつ行っても順番待ちの心配はなさそうだ。


 取り付きで準備をしていると、仙人が「あれっ?おかしいな」とザックの中身をゴソゴソして

         「クライミングシューズがない!!!」


 なんとクライミングシューズを忘れてきたとのこと。しかも今履いているシューズは普通のスニーカーで、しかも若干大きめのサイズ。

 ということで本日は幻舞がオールリードで、仙人はビレイヤーに徹することに。
セカンドでもスニーカーではフリーはとても無理なので、ゴボウでもA0でも何でもありで登るしかない。結局、幻舞を楽しませるためだけに登るようなはめになってしまった。
    ルートの全体。黒矢印が3ピッチ目終了点の泥のテラス。下の写真が取り付き。
 
   
1ピッチ  15m 5.8

 写真は、1ピッチ目終了点より1ピッチ目を見下ろす。


 ホールド,スタンスがハッキリしているので、アップも兼ねての1ピッチ目にはちょうどいい感じ。





     下の写真は終了点の状況。
 
   
   
2ピッチ  15m 5.9

 写真は、1ピッチ目終了点より見た2ピッチ目。
 
 1カ所、スタンスが高く、身長のない人だと足を上げるのに苦労するかも。
 
   
 
3ピッチ  20m 5.9

 写真は、2ピッチ目終了点より見た3ピッチ目。
 

 終了点は、フレーク状の上に見える灌木の所で土のテラスになっている。



フレークを横から写す。今にもはげ落ちそうに見える。
 
   
 
4ピッチ  25m 5.9

 写真は、3ピッチ目終了点より見た4ピッチ目。
 

 このピッチが一番長く、ランニングも9カ所ある。




    4ピッチ目を上から見下ろす。

 
   
 
5ピッチ  20m 5.9

 写真は、5ピッチ目終了点より見下ろした5ピッチ目。
 

 このピッチだけ、1カ所リングボルトの支点があるが、ボルトはまだ新しく、それなり信頼できそう。

 上部は一見するとつるつるのスラブだが、欲しいところにガッチリと指先がかかるカチがあり、見た目よりは簡単に登れる。

 右上にある終了点の上は土のテラスになっており、このテラスから右の灌木帯を登っても上の登山道に出られるが、テラス直前が悪いのであまりお勧めできない。
   
 
6ピッチ  20m 5.8

 見た目、RCCグレードでX級くらいに見えたが、いざ登ってみたら見た目ほど簡単ではなかった。

 なめてかかった幻舞が仙人に「X級くらいで簡単そうですね」なんて大口をたたき、いざ取り付いたら2ピン目だったか3ピン目だったかのクリップが意外に悪くてアタフタ。


      なめたらいかんぜよ!

   
   最終的に頂上直下の登山道に出る。
 
 もう1ピッチ登れば、獅子岩の頂上に出られるが、見た感じでは10bくらいのピッチと予想されたので我々はパス。
   獅子岩の頂上からルートを見下ろす。ここからだと6ピッチ目がかろうじて見える。
       
   クライミングも終了し、獅子岩基部へデポした装備を取りに戻るが、尾根に付いた踏み跡がどうにも気になる。
 
 基部から派生している尾根には、かなり明瞭な踏み跡というか、立派な登山道があるが、この登山道、山と高原地図にも記載されていない謎の道。

 方向は、登山口にある屏風岩の頭と一致しているようなので、尾根の登山道を歩いてみることにした。
 
   
 途中、獅子岩の絶好のビューポイントを発見。今回登ったルートが一望できる。

 尾根の途中から、ルートは左側の支尾根へ分岐している。直進してもピンクテープがあるため間違えやすい。ただ、直進すると踏み跡がとたんに不明瞭になる。
 
   支尾根に入っても登山道は明瞭。獅子岩基部から尾根通しなので、分岐点さえ間違えなければルートを見失う恐れはまずないと思われる。

 ルートの雰囲気は、表妙義稜線の登山道から岩場や鎖場をなくしたような感じ。
 
 メインルートとなっている谷筋の登山道よりも時間はかかるが、気色もいいし、歩いていて楽しい。


 獅子岩の基部から約50分で屏風岩の頭にでるがここにこのルートを示す唯一の道標がある。
 
   

 今までは、クライミングのシーズンはじめの足馴らしは二子山中央稜だったが、中央稜はそれなりに手応えがあるのは3ピッチ目の数mだけ。人気ルートだけに順番待ちもある。

 それに比較して獅子岩のルートは、全ピッチ適度に手応えがあり順番待ちもないし、家からも近い。さすがに夏は暑くて大変そうだが、新緑の季節と紅葉の季節には気持ちのいいクライミングが楽しめそうだ。
 




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